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木まぐれに、気まぐれな美術館
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ダイオ・デ・レゴーヨス「町の闘牛」

 
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 少年の日、熱中したのはプラ模型づくりだった。飛行機、中でも戦間期から第2次大戦初期までの戦闘機や爆撃機は、目の色を変えてつくった。
 零戦、飛燕、ワイルドキャット、コルセア、メッサーシュミット、スピットファイア、九九艦爆、ドーントレス、ユンカースなどなど。
 当時、もっとも精度が高かったメーカーは米国のモノグラム、次いでレベル。値もはった。国産で二社に迫っていたのが、静岡のタミヤだった。

 ワクワクしながら箱を開けてキットを取りだし、私は機体の設計者になる。組み立てるときは技術者、塗装しながら整備士になり、完成の暁には操縦士となって、大空を駆け巡る。
 ミニチュアというのは、想像力の遊びなのだろう。鉄道模型のジオラマに大金をつぎ込む気持ちもわからないではない。私は何年もかかって作りためた愛機を、滑走路にみたてた庭にならべ、基地司令になった。

 漁船が浮かぶ小さな港。かわいらしい建物に囲まれた町の広場では、闘牛の最中だ。群衆が取り囲んでいる。牛と闘牛士も見える。例の赤い布も。
 この高さから眺めおろすと、なんだか自分が別世界にいるような気がしてくる。実際はたいした距離ではないのに。
 画家は、近景に木を描いた。黄色い実がなっている。柑橘類だろうか。重要な木である。これがなければ、ただのジオラマと変わらなくなってしまうのだ。
 
 雨が降り風が吹き、私の航空部隊はひっくり返って砂まみれになった。けれども基地司令は、そのまま放置した。あれほど一生懸命につくったのに。
 いや、だからこそなのだ。あれは供養だったのだ。ボクの零戦二一型は空高く飛び立っていったのだ。少年の日は過ぎた。
 テレビからは連日「三派系全学連は…」といったニュースが流れていた。ゼンガクレン。硬くていい響きだ。ゼンガクレンになろう、と私は思った。

 by フジグリーン・メグ
スリノキネット

by kimagure-art | 2016-07-27 10:57


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