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おやじは子どもの私の手を引いて、毎日曜日、場外馬券売場へ通った。周辺の雑踏ではいくつか人の輪ができていて、その中心ではひとりの男が何事か説き聞かせているのだった。 その職業は「予想屋」と呼ばれた。次のレースの出走馬情報や展開の予測などを解説し、人々の興味をかきたてておいて、さて結論は、「ここに書いてある」と折りたたまれた紙片をとりだす。迷える子羊どもは祈るようにしてそれを購入することになる。 今でも、紙上やネット上やTVでたくさんの「予想屋」さんたちが勝ち馬を指名し、その根拠を熱弁している。しかし、その量はあまりにも多すぎ、かつ意見は異なり、子羊どもは途方に暮れる。競走馬よりも予想屋の成績を気にしはじめる。しまいには、どの予想が的中するのかを予想する、といった事態にもなりかねないのである。 そこに登場したのがコンピューターの予想ソフトだ。これがなかなか優秀で、収支はかなりのプラスになり、脱税か否かで最高裁まで争われて有名になった。 しかし、PCにおまかせの競馬って… 向こう岸の木立や煙突といい浮かんでいる小舟といい、昔はセーヌ川も江戸川もたいして変わらなかったみたいだ。同じ恋が流れるにしても、アポリネールと寅次郎との落差はあるけど。 土手下のシルクハットの紳士は川面を見ている。婦人は釣りに熱中する男を見ている。画家はその彼女を見て、絵を描いている。視線の一方通行。 え、でも題名はハネムーンだって。それって皮肉なんじゃないの? おそらくこの夫もダメ男の系譜に違いない。 経済の本を読むとたちまち瞼が重くなってくる私が、『ケインズかハイエクか 資本主義を動かした世紀の対決』という400ページもの大著を、奇跡的に読み通した。 やれやれと本を閉じてわかったのは、結局、資本主義の世界的動向についてはケインズもハイエクも予想を外したということだ。学説はあくまでも仮説にすぎない。 ところで、路上の予想屋は、めったに外さない。なぜなら、彼が売る紙片は何通りもあって、たいていはそのうちのどれかは的中するからである。 アホノミクスとかいって獲物を狙う狼どもよりは、罪は軽いと思うが。(誤字あり) by フジグリーン・メグ スリノキネット
by kimagure-art
| 2015-04-21 10:40
| モダンアート
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